
ゴールデン・グローリー賞(水野晴郎賞)
桜井浩子
1946年東京生まれの桜井浩子は、TBS・円谷プロのテレビ特撮ドラマ「ウルトラマン」の科学特捜隊の紅一点フジ隊員役で、世の人気をさらった女優、というイメージが強い。しかしその前に、中学卒業と同時に東宝ニュー・タレント1期生として活躍した時代のことを、忘れてはならない。
例えば川島雄三監督の「花影」や「青べか物語」である。特に「青べか物語」が忘れ難い。彼女は左卜全が演じる老船長の記憶の中に存在する、純情可憐な美しい少女の役を演じた。かなりシニカルなタッチで展開するこの映画の中で、唯一純情無垢に描かれたエピソードである。「カーン、カーン!」という老船長が鳴らす船の鐘の音とともに、「おりゃあ、忘れられねえんじゃよう」という彼のナレーションによって登場する、土手の上で若き日の彼が乗った船の通過を待つ、乙女である。かなりに毒のある映画を作った川島雄三監督の、実は少年のように純な心情を、ちらりと見せた珍しいシーンであった。
他にも「高校生と女教師・非常の青春」「河のほとりで」「憂愁平野」「江分利満氏の優雅な生活」「ああ爆弾」といった作品が記憶に残る。そしてもちろん、大人の女優になってからの、実相寺昭雄監督作品「曼陀羅」「哥」「歌麿・夢と知りせば」での、大胆な演技も忘れ難い。実相寺監督と彼女は、もちろんテレビの「ウルトラマン」シリーズでもコンビを組んでいた。
( 白井佳夫 )