
撮影監督賞(富士フィルム奨励賞)
撮影監督賞(富士フィルム奨励賞)受賞、おめでとうございます。
農家の過酷な現実に傷つき、未来をなくした中年の日本人男性が、フィリピンの豊かな自然の中で一人の女性と出会い、愛を育み再生する姿を描いた「恋するトマト」。挫折を味わい、進むべき道を見失ってしまった主人公が再び生きる道を見出していく。その姿は、“100年に一度の経済危機”と言われるこの時代、多くの人に勇気を与えた。
日本農業の最大の懸案である嫁不足・後継者問題をはじめ、結婚詐欺、フィリピンにおける売春ツアー、じゃぱゆきさん等、日本とフィリピンの両国が抱える問題を描き出した意義も大きい。
私が映画公開を記念して舞台挨拶司会をさせて頂いたのは、2006年5月だった。構想13年、企画・脚本・製作総指揮・主演の大地康雄さんをはじめ、スタッフ・キャストが集結。小さなミニトマトしか出来ないフィリピンで、大きなトマトを作ることがいかに大変だったのか…。風土気候が日本のトマトと合わず、その上病気が発生し、完成間近のトマトが全滅する悲劇も味わったという話を聞き、想像以上に過酷な制作だったことに驚かされたものだ。そんな沢山の苦労が報われ、公開を迎えたスタッフ、キャストの表情は喜びにあふれていた。完成するまでの道のりが長く険しかっただけに、愛情もひとしおだったに違いない。
あの日から3年余りが経過した。製作に携わった皆さんの地道な活動のもと、「恋するトマト」は現在も全国の劇場や公共施設など、さまざまな場所で上映が行われている。劇中に登場するトマトのように、これからも毎年、大きな実をつけ続けて欲しいと心から願っている。
( 津島 令子 )