A PRIZE WINNER

特別敢闘賞

河崎実監督/福井政文プロデューサー

 ミステリの世界には、「バカミス」というジャンルがある。奇妙なキャラクターが登場し、ストーリーやトリックも異常なものが多く、偏執的なものが愛されるという不思議な世界。鯨統一郎、霞流一、蘇部健一といった作家たちが有名で、熱狂的ファンも少なくない。
 同じように、映画の世界にも、実は「おバカ映画」と称する、一種のカルト・ムービーが存在する。中には、箸にも棒にも掛からないようなダメ作品もあるが、常識を超えた別の次元でみると、なんとなく愛着が湧いてくるような作品もあって、これが「おバカ映画」の真骨頂ともいえる。
 この分野で、いま大ブレーク中なのが、奇才、河崎実監督だ。明大在学中から8ミリ映画を自主製作、卒業後、CMプロデューサーを経て、TV、ビデオ、映画の監督として活躍を始めた。
 英国映画『えびボクサー』のヒットを受けて作ったのが、『いかレスラー』『コアラ課長』『かにゴールキーパー』の、いわゆる動物三部作。動物といっても、愛くるしいコアラたちが出てくるはずもなく、安っぽいぬいぐるみ程度のものばかり――というから恐れ入る。それでも、これらは大ヒット。
河崎監督の天下を見分ける眼力には、一目置かざるを得ない。ほかにも『ヅラ刑事』『日本以外全部沈没』、ヴェネチア映画祭正式招待作で、日本映画批評家大賞生みの親・故水野晴郎氏も出演している『ギララの逆襲・洞爺湖サミット危機一発』、最近では『猫ラーメン大将』など、単なるパロディを超越した珍作奇作が目白押しだ。座右の銘が「しょせん、人生、死ぬまでの暇つぶし」。一年3本ペースというハード・スケジュールも、この人にとっては朝飯前のことかもしれない。
 アメリカには、アカデミー賞に対抗して、洒落っ気たっぷりのゴールデン・ラズベリー賞というのがあるが、日本のラズベリー賞は、河崎実監督以外考えられない!!
( 平山 允 )