第18回日本映画批評家大賞 受賞結果発表

新人賞/女優(小森和子賞)

吉高由里子「蛇にピアス」

 1988年、東京に生まれる。 「紀子の食卓」(’08年)でデビュー。第28年ヨコハマ映画祭で新人賞を受賞。
 すでに実績はあるが、「蛇にピアス」でのリアリティーにあふれた演技に対し、改めて新人賞を贈呈することが決定した。
 吉高由里子はこの映画で、舌にピアスを嵌め、全体に刺青をほどこし、身体改造にひた走るルイという女性に扮している。痛みの中で生命を実感する・・・。この一般の理解不能な行為を、彼女の存在によって「あるかもなァ」どころか、「あって当然」とさえ思わせる。彼女はまるで、いとも容易く自然体で、ヒョイとこの役に乗ったかのように見える。まさにルイそのまま。気負いも力みも全く感じさせない。
 ところが実際には、スムーズに役に入り込んだというわけでもなさそうだ。
 撮影の直前に交通事故に遭い、ICUに担ぎ込まれる。病院のベッドの中で、彼女は自分の役について考え始めた。
 プレスシートから本人のコメントを紹介しよう。「地球が46億年生きている中で、私の人生なんてため息で流れてしまうような時間。そんな中、私の事を必要だって言ってくれる人がいるんだったら、私の心も身体もくれてやるという気持ちで演じることにしました」  このテンションはいつまで続くのか・・・。
 無邪気でいて屈折した、清楚でいて毒々しい、不思議な魅力にあふれた女優が、ぬくぬくとした日本映画界をこれからも活気づけて行くだろう。
 新作の「重力ピエロ」が待ち遠しい。
( 島 敏光 )