第18回日本映画批評家大賞 受賞結果発表

主演女優賞

小池栄子「接吻」

 たまたまテレビで見た猟奇犯罪者に一目惚れし、獄中結婚までしてしまう女主人公。恐ろしいほど一途な愛を貫き、衝撃的なクライマックスを迎えるという難役を、小池栄子は見事に演じた。
 映画「模倣犯」「犬猫」「下妻物語」や数々のテレビドラマ、舞台で活躍、バラエティ番組では、快活な魅力をふりまいてきた彼女が女優としての潜在能力を遺憾なく発揮、見事に新境地を切り開いたのが、万田邦敏監督の映画「接吻」である。
 あまりにも、暗く、重いということで、一度オファーを断った役である。しかし仙頭武則プロデューサーらの助言で翻意、一か月にわたる撮影を乗り切った。結果、昨年の女優賞のほとんどを独占-という快挙につながる。
 劇中、報道陣に囲まれた彼女が、何も答えずニタリと笑うシーンがある。更には、問題のクライマックスシーン。死刑囚の豊川悦治を刺したあと、何故に弁護人役の仲村トオルに抱きついて接吻したのかという疑問は残るものの、この体当たりを地で行くような熱演には本当に驚いた。
 今でこそ、その実力は各界に認められるようになったとはいえ、女優になりたくて入った芸能界では、なかなか芽がでなかった。アイドル時代は、Fカップという巨乳ばかりが取り沙汰され、本来の自分の力を発揮できない日が続いた。しかし、我慢の日々を乗り越えて、この作品では、トリフォーの名作「アデルの恋の物語」でイザベル・アジャーニが演じたヒロインのように、狂おしいほどの愛の形を披露、女優としての評価を一気に高めたといってもよい。
 プライベートでは、一昨年プロレスラーの坂田亘と結婚。公私ともに充実した現在、今後はタレントという肩書を越えた世界に通じる女優として、スクリーン狭しと暴れまくってほしいものだ。
( 平山 允 )